渡辺酒造店が蔵を構える根知谷は、新潟県の最南西端にある糸魚川市、長野県と富山県に隣接する山間の根知という小さな谷です。ここは、日本海から翡翠の産地として有名な姫川を１０ｋｍほど遡り、支流の根知川に入って海抜１１０ｍ、四方を深い山と川に囲また雪深い山里です。東西に開けた根知谷上流には、日本百名山の雨飾山があり、冬の深雪と豊富で柔らかな地下水とが相俟って、酒造りには最適な環境となります。

創業は明治元年、根知男山は千石蔵の構えとなっておりますが、大自然そのものという素晴らしい環境に身を置き、．．．もっと見る

渡辺酒造店が蔵を構える根知谷は、新潟県の最南西端にある糸魚川市、長野県と富山県に隣接する山間の根知という小さな谷です。ここは、日本海から翡翠の産地として有名な姫川を10kmほど遡り、支流の根知川に入って海抜110m、四方を深い山と川に囲また雪深い山里です。東西に開けた根知谷上流には、日本百名山の雨飾山があり、冬の深雪と豊富で柔らかな地下水とが相俟って、酒造りには最適な環境となります。 創業は明治元年、根知男山は千石蔵の構えとなっておりますが、大自然そのものという素晴らしい環境に身を置き、現在は大半を純米醸造にして約５００石という生産量でゆっくりと余裕を持ち、より精度の高い酒造りを目指しながら酒蔵の細部に到るまで徹底した管理を行って、質の高い酒を丁寧に造られています。 そうして醸し上げられる「根知男山」は、淡麗辛口というイメージが強い新潟清酒の中では、味と香りを追求する蔵元として本格的な酒好きにファンが多く、異色の存在感を放つ銘酒として知られています。 また、同社の思想を徹底的に究めた全国４社のみの特約店限定銘柄「Ｎｅｃｈｉ」ブランドでは、原料米の生産から酒造りまで一貫した生産体制を構築し、今まで日本酒では謳われることのなかったワインの「A.O.C.」や「ドメーヌ」に通ずる日本酒の新たな価値観、「原料米の産地・品種・品質（等級）、酒蔵を取り巻く風土から生まれる酒」というテロワールを見出し、気候風土を味わいに映し出した日本酒の新しい領域に挑戦しています。 六代目・渡辺吉樹氏の「日本酒の本質的な価値は、原料米の生産から酒蔵のある土地で手掛ける事にある」という考えの下、全量自社栽培に向かって平成１０年より根知谷で本格的に直接契約栽培を始め、現在では渡辺酒造店の原料米は全量根知谷産米となっています。酒造家として他に類を見ないほどの情熱、米作りと酒造りに対する真摯な姿勢や取り組みは、日本酒に携わる者として強い感銘を受けずにはいられません。 この根知谷は、酒米生産に適した天賦の地形、景色の美しさだけでなく、傾斜地形や谷を渡る風、太陽の角度、水質、排水など、良質な米作りに最高の条件が整った奇跡の谷です。醸造技術の向上だけでなく、テロワールを語ることが出来れば「日本酒は世界でもっと理解される」との思いで４月から９月まで米を作り、１０月から３月まで酒を造る。つまり「テロワールを語れる日本酒」を造る、まさに日本酒版のドメーヌのような酒蔵です。 根知男山は小さな酒蔵ですが、米処の奥山にひっそりと佇む自然豊かな根知谷で、若手からベテランまでスタッフが力を合わせ、米作りから酒造りまで全て自社で取り組み、世界に認めさせる理想の酒と酒米の最高品質を目指すと共に、根知谷の環境を守り、父祖伝来の田んぼを守り、根知谷とともに生きています。