南部美人が酒蔵を構える岩手県二戸市は、岩手県内陸部の最北端、青森県と県境を接した位置にあります。東に北上山地、西に奥羽山脈、市街地を南北に馬淵川が縦貫しており、緑に覆われた山々は標高千メートル以上という峻嶮さを有します。その山々からは清冽な水が絶え間なく流れ続け、四国全県の面積に近いという岩手県の日本一広大な土地に、豊かな自然の恵みが溢れる小さな街です。

創業明治35年、南部美人という銘柄は、当時全国的に精米歩合も低く、雑味の多い甘い酒が主流の中で、綺麗な美しい酒を造りたいという．．．もっと見る

(株)南部美人が蔵を構える岩手県二戸（にのへ）市は、岩手県内陸部の最北端、青森県と県境を接した位置にあります。東に北上山地、西に奥羽山脈、市街地を南北に馬淵川（まべちがわ）が縦貫しており、緑に覆われた山々は標高千メートル以上という峻嶮さを有します。その山々からは清冽な水が絶え間なく流れ続け、四国全県の面積に近いという岩手県の日本一広大な土地に、豊かな自然の恵みが溢れる小さな街です。 創業明治３５年、南部美人という銘柄は、当時全国的に精米歩合も低く、雑味の多い甘い酒が主流の中で、綺麗な美しい酒を造りたいという思いと、二戸市の素晴らしい自然風土が昔から「南部の国」と称し呼ばれていた事から、昭和２６年に地名の南部と綺麗で美しい酒質をイメージして「南部美人」と命名されました。 今や東北を代表する人気銘柄「南部美人」、酒質は米や酒本来の旨味と四季折々の熟成を大切に、非常に優しく絶妙なバランス、切れ味の良さを特長としています。また、国内各鑑評会での金賞や首席の連続受賞、海外コンクールでの最高賞受賞など、輝かしい受賞歴がそのレベルの高さを証明しています。 南部美人の原料米は、そのほとんど岩手県産米、酒造好適米「美山錦」、「吟ぎんが」、その妹分の「ぎんおとめ」、酒造米「トヨニシキ」を中心に、平成５年の大凶作の年に、沖縄県石垣島から種もみの増殖協力を頂いた岩手県オリジナル品種である「かけはし」など、平均精米歩合５４％まで磨き上げ、仕込水に折爪馬仙峡の中硬水の伏流水を使用し、炭素濾過を一切せず、南部流手造り技法を用いて丁寧に醸し上げます。 また、貯蔵方法は、生酒は全量氷温貯蔵（−４℃から−１０℃の冷蔵庫とサーマルタンク）、大吟醸や純米吟醸、本醸造などの８割を越える特定名称酒は全て５℃以下の冷蔵庫で貯蔵しています。その他、普通酒においても１０℃以下で貯蔵し、全商品に徹底した冷蔵貯蔵を行い、しっかりした熟成の管理をしています。 現在は、五代目蔵元「久慈浩介氏」を中心に、数々の品評会で首席や金賞に耀き、南部美人の名を全国に知らしめた名杜氏「山口一 氏」の生え抜き副杜氏として従事し、岩手県青年卓越技能表彰を受賞した松森杜氏と平均年齢３２歳の若手蔵人が、伝統の技と若き情熱と力の融合を目指して究極の酒造りに挑んでいます。 南部美人では、先人が積み重ねた伝統に新たな工夫を重ねながら、新しい時代の新しいタイプの日本酒蔵として「飲んだ時に笑顔のあふれる太陽のような酒」を目標に、次世代へと手造りの技を継承していきます。