山田酒造が蔵を構える大島郡龍郷町は、沖縄と鹿児島のほぼ中間の洋上に浮かぶ奄美大島の北部に位置し、東シナ海と雄大な太平洋に囲まれた「東洋のガラパゴス」と称されるほど手付かずの大自然を残す町です。この地には、煌く太陽、紺碧の海、深遠な山々をはじめ、幾多の希少な固有動植物たちが息づき、島の人々は太古の昔からの自然の至るところに神々が宿ると信じ崇め、神々（自然）と共に生きてきました。

また、伝統産業の大島紬は、全国的に有名な伝統の紬柄である「龍郷柄・秋名バラ」があり、平家伝説や明治の偉人西郷南州謫居跡など、奄美独特．．．もっと見る

山田酒造が蔵を構える大島郡龍郷町は、沖縄と鹿児島のほぼ中間の洋上に浮かぶ奄美大島の北部に位置し、東シナ海と雄大な太平洋に囲まれた「東洋のガラパゴス」と称されるほど手付かずの大自然を残す町です。この地には、煌く太陽、紺碧の海、深遠な山々をはじめ、幾多の希少な固有動植物たちが息づき、島の人々は太古の昔からの自然の至るところに神々が宿ると信じ崇め、神々（自然）と共に生きてきました。 また、伝統産業の大島紬は、全国的に有名な伝統の紬柄である「龍郷柄・秋名バラ」があり、平家伝説や明治の偉人西郷南州謫居跡など、奄美独特の伝統文化が息づく歴史とロマンの町としても知られています。 創業昭和35年（1957年）、山田酒造は代表兼杜氏を務める「山田隆氏」とご子息である専務の「山田隆博氏」を中心に家族で運営する小さな蔵元です。年間の生産量は約四百石弱、南国の太陽と澄んだ空気に育まれた良質の黒糖を原料とし、長雲山脈から湧出る名水と昔ながらの造り（単式常圧蒸留・一次はかめ仕込み）にこだわり、愛情と魂を込めた手造りにて黒糖本来の香りと味を最大限に引き出した酒造りを続けています。 長雲山脈の麓から涌き出る名水「みどりの泉」に因んで命名された代表銘柄「長雲」は、芳醇な味わいにほんのりと香る黒糖の甘味と心地よい余韻が長く続く人気銘柄、黒糖好きならずとも魅了される逸品です。 長雲の最大の特徴は、黒糖の風味をより強調されていることにあります。原料である黒糖は熱を加えて溶解しますが、この原料処理の段階で黒糖の香りが飛散します。長雲では風味の飛散を少なくするため、出来るだけ短時間で処理をして黒糖本来の香味を封じ込め、「黒糖をそのままかじった時の味」を目指しています。 また、和製ラムと呼ばれる黒糖焼酎は、長期熟成により飛躍的に酒質が向上する事でも知られていますが、長雲でも丹念に熟成した古酒を貯蔵しています。レギュラー酒でさえ、泡盛の古酒のように「仕次ぎ」をして二年以上熟成、超限定品である大古酒や古酒に至っては入手すら容易ではありません。奄美の優しく包み込むような大自然と今も変わらずゆったりと流れる時間の中で育まれた古酒は、黒糖焼酎ファン垂涎の的です。 神秘的な亜熱帯の南の島、奄美の小さな蔵で生まれる島酒は、その雫は微量ながら全国でその味を待つ愛飲家を潤し続けています。長雲の封が解かれる時にはきっと奄美の南風が吹き抜けることと思います。