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それいゆ ピノ・ノワール 2022年のきろく

 それいゆ ピノ・ノワール 2023年のきろく

”自社畑クロニクル最終章、旭洋酒のヴァラエタルシリーズ「きろく」 ”

栽培醸造家のオーナー夫婦が小規模だからこそできる隅々まで目の行き届いた丁寧な葡萄栽培と醸造に徹し、風土の良さを表現した家族経営の小さなワイナリー旭洋酒の限定品、自社畑で栽培法からこだわり、この土地ならではの美味しさを追求した自社畑のヴァラエタルシリーズ「きろく」のピノ・ノワールです。

多品種をブレンドするアッサンブラージュに比べて、その年の特徴が顕になるモノ・セパージュ。そのシリーズ名を「きろく」としたのは、もはや高品質を競って何らかの記録"record"を目指さない事を表明するためでもあります。

標高約450mの粘土質斜面にて棚式短梢剪定、不耕起草生栽培で樹齢は古い樹で22年になります。元々適地とは言えないこの地での栽培ですが、灰色カビ病対策のために花カス落としを励行、通気性素材の雨除け傘をかけて房の温度を低く保ち、酸を残すなど、他品種よりも念入りな対策を講じてきました。

収穫はブルゴーニュ系とスイス系の2系統につき、それぞれ樹ごと房ごとに熟度チェック、着色の悪い樹はロゼ用に分別し、二回に分けて収穫しています。

2023年は久しぶりの高温乾燥の良年、いつも苦労している潰れも少なく、過去一早いお盆明け早々の収穫となりました。着色も例年より良く、ロゼ用に回すレベルが少なかったため、久しぶりに3樽分の収穫量を確保する事ができました。

醸造では、全除梗後コールドマセレーションを行い、培養酵母を添加せずに野生酵母による醗酵(野生酵母による醗酵は、全ワイン中このワインのみ)を行っています。アルコール醗酵後は、自然誘発によるマロラクティック醗酵が完遂され、その後9か月間フレンチオーク樽で熟成(新樽率33%)、春に一度滓引きし夏にノンフィルターで瓶詰しました。

透明感のあるガーネットの色合い。焼いた石や獣の毛などの還元的香から、徐々にクランベリーやフランボワーズが開き、タイムや紅茶などのニュアンスと共に立ち上ってきます。酸味は穏やかで、サンザシなど赤紫系の果実味がしっとりとしたタンニンにのって継続。クルミや栗など樽香もふんわり戻って合流し、アフターにはドライアプリコット様の余韻が残ります。

淡い色合いと軽い飲み口ながら、細く長くつづく旨味があり、和の出汁との相性も良い。鶏肉と根菜の煮物、鴨鍋、そばがき、篠田巻、大きめのグラスで鴨焼きや熟成鮨などとも合います。例年より味わいに厚みがありますが、複雑な要素が溶け合ったワインなので濃い味は避けた方がベターです。

■葡萄品種:ピノ・ノワール
■産地/畑:山梨市岩手(いわで)地区自社畑
■貯蔵/熟成:樽熟成9か月
■タイプ:
■アルコール度:11.5%

■納期:通常1〜3日
■生産本数:942本
■保存:冷暗所
■配送:普通便
■化粧箱:無し

NO.3-8-66  720ml 税込 3,960円  



【 きろくシリーズコンセプト 】
植え付けから古い樹で20年以上の歳月を経た自社畑の欧州種。その年もっとも良く熟した房のみを選別して収穫・醸造し、これまで平仮名の「それいゆ」シリーズとしてリリースしてきました。世界の銘醸地に比べて温暖湿潤な日本の山梨で、世界共通品種でどこまでのものが作れるのか。日本の山梨の、私たちならではの味わいとはどんなものなのか。それを知りたくて私たちは樹を植えました。

それから20年。幾度かの当たり年を経験する事ができたことはとても幸せでしたが、温暖化の影響は当初の想像をはるかに超え、この20年で豪雨や長雨の被害、高温化によるブドウの着色障害などが顕著となりました。質量ともに安定した地域を産地と呼ぶとすれば、それは確実に、標高と緯度の高い地域に移っています。

現在自社畑では温暖化に対応しいくつかの別品種の栽培をスタートしています。これらの品種をブレンドして質・量ともにバランスのとれたワインを生産する事は理にかなっています。

しかし一方で、気候条件に恵まれさえすれば良いワインが作れるのか、そもそも良さとはどういうことなのかと、折に触れて考えるようになりました。そして、良さというものが喜びや幸福に関係づけて語られるのであれば、それはそのものの中に存在するのではなく、そのものを通じて開かれる喜び、生の肯定、感謝の気持ちに他ならないと考えるようになりました。それは追い求めて勝ち取るようなものではなく、与えられた環境や変化をまず受け入れることによって開かれる地平ではないかと。

そこで自社畑では、品質の良さで記録を目指すのではなく、この加速する温暖化の中で、一年ごとのワインの営みを忠実に記録していくことを、これからの20年のワインづくりの目的とする事にしました。

もしも死の直前に、走馬灯のように過去の思い出が蘇るとしたら、それは、雨上がりのブドウの葉が陽に照らされて輝く光景、美味しそうに葉を食べるイモムシ、忙しく動き回るテントウムシ、そして一緒に収穫した仲間たちや、訪れてくれた人たちの笑顔がちりばめられた映像であろうと思います。

一つ一つは何でもないシーンでも、辛く苦しい痛みの記憶の上にそっと積み重ねられていく色のように、生きる喜びを補給してくれた風景。それらを写し取るように、毎年のワインを記録していきたいと思います。

エチケットデザインを依頼した版画家の雨宮千鶴さんが、コロナ禍で一日一枚製作した小さな作品群「日々の形跡」"Daily Traces"。まさにそのような姿勢で、過酷な状況下で実ったその年年のブドウと、それと共に生きた私たち自身の、最後の年次記録"chronicle"として、このシリーズを可能な限り続けていきます。


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