 |
 |
清酒と呼ぶべきか、それとも日本酒とすべきか、色々論議が聞かれますが、わが国の伝統的な米と米麹と水による酒は、清酒とも日本酒とも言われます。
『酒の事典』によると「清酒には日本酒という別名がある。普通にはお酒で通る。」となっています。これによると清酒が本名で日本酒が別名になります。
また、わが国の酒税法では、清酒としていますから法的には清酒である事は当然です。しかし、日本酒造組合中央会では、「10月1日は日本酒の日」と定めて、清酒でなく日本酒を採用しています。
また、東京の都心銀座四丁目には大掛かりな「日本酒センター」が設置され、全国の清酒を地域別に展示即売したり「清酒の出来るまで」を示したパネルや「清酒ミニ博物館」もあり、清酒に関する講演会等を臨時開催したり、清酒のきき酒の仕方の講演会や全国のうまい酒を楽しんでもらう試飲会、酒の肴の料理教室等も開催したり酒に関するイベントがいつも行われております。
つい本題からそれてしまいましたが、誰でも自由に御利用して頂く為申し上げました。
さて、呼び名の問題は清酒と日本酒を合併するのが良いのでしょうか。両方を上手に使い分けするのが適当でしょうか。
清酒の事を日本酒と言う様になったのはいつ頃からでしょう。10年位前、あるお店で店の板前さんをお客さんが叱りつけていたのを見た事があります。
「お酒をくれ」「日本酒ですか」と板前さんが言ったところ、そのお客さんが「何ですか日本酒とは!清酒と言いなさい。お酒と言えば清酒に決まっているじゃないか」と色をなして叱り付けました。
残念な事に近頃の酒場では、清酒と言う言葉はほとんど通用しないのです。私もお酒と言う言葉は好きだけど、お酒と言ってすんなり清酒が出たためしがない。
看板の肴から見て酒と言えば当然清酒を出してくれそうな店でも、一応「日本酒ですね」と念を押される。穏やかに「清酒だよ」と言うと相手は不可解な微笑みを浮かべて「清酒ねー」と言う。何と古くさい事を言うお客だと思うのでしょう。
好みの銘柄を言うと、きょとんとしている。「清酒だよ」と言っても「うちはビールとウイスキーと日本酒しか置いていないんですけど」と気の毒そうに言う。
昔は随分にごり酒があった。酒が「清く」なった事は江戸時代としては画期的な事である。
文明の進んだ現代においては、酒を濁らす事も清くする事も化学的操作の面では、すごく簡単になって、ことさら澄んだ酒だからと特別扱いしないにも拘らず、頭のお固いお大尽の多いこの業界では、いまだに清酒という名称にこだわっている人が多い。
むしろ我が国ならではの酒という意味で「日本酒」と呼ぶ方が確かと思います。酒造組合等には「国酒」と大書きした額をよく見かけます。
「日本の酒はここにあり」という気概もこもっていて、お酒のPRはまずもってこの辺の土台から直すのが肝要かと思います。
業界を代表する日本酒造組合中央会が10月1日「日本酒の日」を定めて日本酒の名称を取り上げているのだから日本酒という名称を推進し、わが国ならではの酒としたいものです。
|
 |
<< 戻る 目次 次へ >>
|
|
|